がんとつきあう(がん治療の副作用)がん治療と皮膚障害 手足症候群、皮疹(ひしん)、色素沈着、皮膚の乾燥、アレルギー、爪の変化など 皮膚障害とは? 抗がん剤(化学療法)や分子標的薬によるがん治療を行うと、治療に伴う副作用として皮膚や爪に異変が現れることがあります※1。皮膚や爪に起こる症状は、生命には別条がなく、ほかの副作用や症状に比べて軽視されがちです※2。しかしながら、外見の変化を伴う皮膚障害は、患者さんに大きな身体的・精神的苦痛をもたらすこともあります※2。 治療によって引き起こされる皮膚障害には、手足症候群、皮疹(ひしん)、色素沈着、皮膚の乾燥、アレルギー、爪の変化などが挙げられます※1。治療に用いる薬剤の種類によって、起こりうる皮膚障害が異なるため、がん治療医に加え、皮膚科の医師の診察や皮膚ケアを担当する看護師の支援を得ながら、予防や日々のケア(保湿や清潔の維持など)を行っていくことになります。 手足症候群は抗がん剤(化学療法)や分子標的薬によって引き起こされる副作用のひとつです※3。お薬によっては、数十%以上の方に現れるとされています※4。手のひらや足の裏など、体重や力のかかりやすい部分や摩擦が生じやすい部分に現れることの多い皮膚症状です※4。手のひらや足の裏にピリピリした痛み・カサカサする乾燥・しびれ、赤みや腫れといった症状が現れ、ひどい場合には歩くのが困難になることもあります※4。 そのほかの皮膚症状としては、ニキビに似た皮疹である「ざ瘡様皮疹(ざそうようひしん)」や「色素沈着」「皮膚の乾燥」「アレルギー」などがあります※1。また、爪にも影響が出て「爪の形が変わる」「爪が薄くなる」「割れやすくなる」などの症状が現れることがあります※2。 これらの症状が激しい場合、患者さんはとてもつらいと感じることがあるかもしれませんが、適切なスキンケアを行うことで、症状の悪化を防いだり予防したりすることが可能です※1。詳しい方法については、「皮膚障害の対処法」で紹介していますので、参考にしてみてください。 皮膚障害の症状が強い場合には、抗がん剤(化学療法)や分子標的薬の治療継続に支障を来すこともあります※2。適切な治療を継続するため、皮膚や爪をよく観察し、気になる点があれば、なるべく早く医療スタッフに相談しましょう※2。 ※1 国立がん研究センター中央病院 色素沈着や皮膚の変化の対処法 https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/nursing/power/010/100/index.html 2023/4/19参照 ※2 がん治療におけるアピアランスケアガイドライン 2021年版, 日本がんサポーティブケア学会 編, 金原出版, 2021年10月, 東京. ※3 がん化学療法副作用対策ハンドブック 第3版, 編集; 岡元るみ子, 佐々木常雄, 羊土社, 2019月11月, 東京. ※4 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 手足症候群 平成22年3月(令和元年9月改定) https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1q01_r01.pdf 2023/4/19参照 【監修】帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科 渡邊清高 先生 更新年月:2023年11月 ONC46N010B