がんとつきあう(がん治療の副作用)一般的な口腔ケアの方法

ご自分で行える一般的な口腔ケアの方法には、うがいと歯磨きがあります※1

うがいは口のなかに残った食べカスを除去することで口のなかをさっぱりさせ、清潔にします※2,3。また、口のなかを保湿し、粘膜を保護する役割もあります※3

歯磨きは口腔ケアの基本です※3。歯垢(しこう:プラーク)と呼ばれる口のなかの細菌のかたまりは、歯ブラシなどによるブラッシングによってのみ減らすことができます※3

うがい (含嗽法:がんそうほう)

うがいには、のどの奥を洗う目的で上を向いて行う「ガラガラうがい」と、口を閉じてほおをふくらませて行う「ブクブクうがい」があります※2。口腔ケアでは、口のなかに残った食べカスを取り除くのに有効な「ブクブクうがい」を中心に行います※2。「ブクブクうがい」の方法とポイントは以下を参考にしてください。

「ブクブクうがい」の方法とポイント

口のなかで動かせる程度の少量の水を口に含み、水を上下左右に動かして口のなか全体に行き渡るように「ブクブク」とうがいします※4。痛みでほおを動かしにくい時は、水を口に含んだまま頭を上下左右に動かして、水を移動させます※4

水または生理食塩水(500mLの水に対して小さじ1杯分の食塩[約5g]を溶かした食塩水)でうがいをすると良いでしょう※1。もし、水道水でさえ痛くてうがいできないような場合には、生理食塩水を使用することでしみることなくうがいができる場合があります※3。うがいの回数は一日4回以上が目安です※1

うがい薬にはいろいろな種類があり、市販されているものもあります※5。うがい薬を使う場合は、使用目的に合わせて医師と相談して選ぶようにしましょう※5

どうしてもうがいができない場合には、スポンジブラシをうがい薬にひたし、口のなかを拭くことで口のなかを湿らせると良いでしょう※1

歯磨き

歯磨きのタイミングは「食べたら磨く」が良いとされていますが、難しい時には最低でも一日1回は磨きましょう※6。体調によって歯磨きが困難な時は、うがいだけでも行うようにしてください※6。歯磨きの方法とポイントは以下を参考にしてください。

歯磨きの方法とポイント

  • 毛の柔らかい歯ブラシを使って、歯や歯茎、舌を一日2~4回程度、ブラッシングします※1

    <歯のブラッシング方法※5

    1. 鉛筆を持つように歯ブラシを持ちます。
    2. 歯と歯肉の境目に歯ブラシの毛先を当てます。
    3. 毛先が開きつぶれてしまわない程度の力で、細かく振動させて10回程度、横磨きをします。
    4. 前歯の裏側などの磨きにくい部分は歯ブラシを縦にして磨きます。
  • 歯ブラシが届きにくい奥歯や、口を開けることが難しい時、特に磨きたい歯がある時は、1本磨き用の歯ブラシ(タフトブラシ)が便利です※5。また、全体をブラッシングしたあとには、タフトブラシや歯間ブラシを使って、歯と歯の間もブラッシングするようにしましょう※1
  • 歯磨き粉には、プラークを除去したり、再付着・再形成を抑えたりできるものがあります※5。しかし、泡立つことによって吐き出したくなることや、歯磨き粉の清涼感によって、十分に磨けていなくても磨けたような気になってしまうことがあります※5。そのため、歯磨き粉を使用する場合には、ブラシ部分の1/3~2/3程度の量にしましょう※5
  • 舌は汚れがたまりやすい構造をしており、白血球や細菌などが舌の表面に黄白色の汚れ(舌苔)となってたまります※3,5。舌苔がたくさんついていると感染や口臭の原因になるので※3、柔らかいブラシや舌専用のブラシで傷を付けないようにやさしくブラッシングすると良いでしょう※1
  • 義歯を使っている方は、毎食後に義歯を取り外し、専用のブラシを使って、流水でしっかりと義歯の汚れを落とします※3。また、定期的に専用の義歯洗浄剤で洗浄するようにしましょう※3。義歯は装着したままにせず、就寝の際には外しておくことが望ましいとされています※3。どうしても装着したままにしたい場合は、就寝の前に義歯をしっかり洗っておきましょう※3。義歯は乾燥させてしまうと変形し装着できなくなってしまうため、必ず水中で保管します※3。専用の保管容器を使用すると便利です※3

口腔ケアは、口や全身のあらゆるトラブルを防止するために重要です※1。自分でケアをすることが難しい時には、医療スタッフに相談することもできます※1。また、周りの人に手伝ってもらいながら、病気や治療の状態、食事をしたかにかかわらず、毎日行うようにしましょう※1

※1 国立がん研究センター がん情報サービス 口内炎・口内の乾燥 もっと詳しく
https://ganjoho.jp/public/support/condition/stomatitis/ld01.html 2023/4/14参照

※2 日本訪問歯科協会 口腔ケアのうがい
https://www.houmonshika.org/oralcare/c25/ 2023/4/14参照

※3 がん研究振興財団 「多職種から学ぶ:がん看護の基礎(食事を支えるケア編)」
https://www.fpcr.or.jp/data_files/view/46/mode:inline 2023/4/14参照

※4 口腔ケアでがん治療はグッと楽になる. 監修; 百合草健圭志, 講談社, 2016年8月, 東京.

※5 がん患者の口腔マネージメントテキスト―看護師がお口のことで困ったら―. 編者; 上野尚雄, 山田みつぎ, 岩隈好恵, 文光堂, 2016年7月, 東京.

※6 国立がん研究センター がん情報サービス 「在宅療養中のがん患者さんを支える口腔ケア実践マニュアル」
https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/medical_treatment/dental/pdf/oralcavity_web.pdf 2023/4/14参照

【監修】帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科 渡邊清高 先生

更新年月:2023年10月

ONC46N008C

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