がん患者さんのお悩み相談室 ~がんと生活(アピアランス)~がん患者さんのウィッグ選びと頭皮ケア

~がん患者さんのお悩み相談室~

Q.ウィッグは、いつごろ用意をすればいいですか?

治療が始まる前に準備ができると安心です。

放射線によるがん治療や抗がん剤(化学療法)の種類によっては、副作用で脱毛することがあります。担当医や看護師から説明を受けたら、治療が始まる前にひとつウィッグを準備しておくと安心です。髪の毛があるときに試着をしても、合うか合わないか分かりづらいですが、抜け始めてから探すのは、体にもココロにも、負担がかかることもあるでしょう。

どれを選ぶ?どこで選ぶ?

ウィッグを選ぶ

ウィッグは、医療用の高品質なものからファッション用の安価なものまで、価格も数千円から数十万円までなどいろいろな種類があります。皆さん、どのようにして選んでいるのでしょうか?
「待合室においてあったパンフレットを参考にした」「相談支援センターや、外来化学療法室の看護師さんに相談にのってもらった」「いくつか店舗を回って、実際に試着してみた」など、探し方は人それぞれ。最近は、インターネットで購入する方も増えているようです。届いたものを試してみて、似合わなかったら返品ができるサイトもありますので、そうしたサービスを利用しながら「お気に入り」を見つけてみるのもよいでしょう。

選ぶポイントは?

医療用の高価なウィッグは、軽さや着け心地、肌に優しい素材、自然な見た目(分け目があるなど)といった製品自体の品質の高さのほか、購入後のアフターサービスも豊富です。「“病院に出張して、治療中にメンテナンスをしてくれる”というのが決め手になった」という声もありました。夏場など、フルウィッグでは蒸れてしまうというときは、ウィッグ付きの帽子などで暑さを軽減することもできます。 価格については、「高価なもの=いいもの」とは限らないようです。「5千円のウィッグと6万円のウィッグを買ったけど、5千円の方ばかりを使っていた」ということも。「自分に似合うもの」がいちばんですね。「思いきってカーリーなウィッグを買った」など、いつもとまったく違うヘアスタイルで外見の変化を楽しむ方もいるようです。

周りの目が気になります。

ウィッグで人前に出るとき、特に久しぶりに人に会ったり、職場復帰をするときなどには、周りの目が気になります。「ちょっと髪型を変えてみた」と伝えたり、「カチューシャをつけてごまかしていた」など、ちょっとした工夫でも見え方は変わるようです。久しぶりに会った孫から、「おじいちゃん、若々しくなったね」と言われて逆に嬉しかったという方も。「意外と周りは気づいていない」という先輩患者さんからの声に、少し安心できそうですね。

治療中はやさしく、治療後は頭皮のマッサージを

抗がん剤(化学療法)や放射線治療中は、地肌が敏感になっています。髪を洗うときには、シャンプーをよく泡立ててから、泡を頭に乗せるようにやさしく洗ってください。低刺激性など、肌にやさしいシャンプーを使用してもよいでしょう。また頭部へ放射線治療を行っている場合は、シャンプー・リンスは使用せず、ぬるま湯で洗い流す程度にとどめましょう。そして治療が終わったら、血行をよくするためにも、頭皮をマッサージするように刺激を与えてあげるといいそうです。担当医や看護師から、「治療が終われば、髪は元に戻りますよ」と言われても、そうとは限らないようです。「髪の毛が薄くなった」「もともとストレートだったのに、くせ毛が強くなった」など、髪の量、髪質が変わったという声もあります。

美容院はどうしている?

脱毛で外見の変化が気になる時期は、美容院に行くのもためらってしまいます。「病院内の美容室を利用した。少し髪を切りそろえる程度でも、気分がリフレッシュした」という声がありました。最近では、個室を用意してくれたり、時間外に対応してくれたり、ウィッグの調整もしてくれたりするなど、病気に理解のある美容院も増えているようです。ちょっと勇気はいりますが、相談してみると、髪のプロからアドバイスをもらえるかもしれません。

あなたの治療をサポート

【ウィッグ購入費用助成制度】
がん治療に伴いウィッグを購入した方を対象に、補助金や助成金制度を設けている自治体が増えてきています。各自治体により申請方法や申請条件などが異なりますので、ウィッグ購入の際に、お住まいの自治体に問い合わせ、確認をしておくとよいでしょう。

【ウィッグ購入後のアフターサービス】
メーカーによって異なりますが、ウィッグのクリーニングや髪の変化に合わせたサイズ調整、頭皮のチェックなど、さまざまなサービスがありますので、ぜひ活用してください。

【美容院】
がんだけではなく、さまざまな病気で髪に悩みを持っている方は大勢います。最近は、そのような病気に理解のある美容院が増えていますし、ウィッグの販売やカット・メンテナンスなど、自らのがん経験を活かして患者さんをサポートしている美容師さん・理容師さんもいます。

【監修】地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター 乳腺内分泌外科 部長 山下年成 先生

更新年月:2022年11月

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