がんとつきあう(がん治療の副作用)下痢の症状 下痢の症状 下痢とは、便のなかの水分が過剰になり、排便の回数が一般的に一日3回以上と増加する状態です※1。問診や検査で下痢の原因を見つけ、原因や状況に応じた治療を行うことが必要です※1。 薬物療法による下痢の場合、抗がん剤投与中あるいは直後から24時間以内に発症する早発性の下痢と、投与開始後数日から10日くらい経ってから起こる遅発性の下痢があります※2。治療から数日がたって下痢が起こることがあるため、体調の変化に気をつけるようにしましょう。 何らかのお薬を服用していて以下のような症状が継続して起こる場合、また、指示された下痢止めを服用しても症状が改善しない場合には、ただちに医療スタッフに連絡しましょう※2。 便が泥状か、完全に水のようになっている 便意切迫またはしぶり腹*がある さしこむような激しい腹痛がある トイレから離れられないほど頻回に下痢をする 便に粘液状のものや血液が混じっている *しぶり腹:便意があっても少量しか便が出ず、たびたび便意を催す状態※3 下痢の注意点 下痢が続くと体内の水分やミネラルが奪われ、脱水状態になります※1。また、栄養障害が起きたり、肛門の周りに痛みや炎症が起きたりして、心身ともに負担が生じます※1。さらに、脱水状態が続くと体の機能が正常に働かなくなります※2。また、重い症状が現れることもあり、子供や高齢者にとっては特に注意が必要です※2。 脱水症状 脱水症状を防ぐための水分補給の工夫として、水やお茶だけでなく、スープ、みそ汁や果汁などを選ぶことで、失われた水分とミネラルを同時に補給することができます※1。また、市販のスポーツドリンクや経口補水液も水分やミネラルの良い補給源となります※1。 脱水症状の判断に役立つ徴候※2 口のなかが乾燥している 排尿の量が減少している 脈が速くなる 血圧が低い 意識が混濁(こんだく)する 肛門周りの炎症 排便回数が増えることや、アルカリ性の腸液を含む便が影響することにより、肛門の痛みや肛門周りの皮膚に炎症が起こることがあります※1。 脱水症状を防ぐための食事の工夫や、肛門の不快感を緩和するためのポイントなどを「下痢の対処法」でご紹介しています。また、医療機関には専門的なケアをしている医療スタッフがいるので、不安に思うことがある場合は相談してみてください。 ※1 国立がん研究センター がん情報サービス 下痢 もっと詳しく ~がんの治療を始める人に、始めた人に~ https://ganjoho.jp/public/support/condition/diarrhea/ld01.html 2023/2/20参照 ※2 医薬品医療機器総合機構 重篤副作用疾患別対応マニュアル(患者・一般の方向け) 重度の下痢 https://www.pmda.go.jp/files/000240143.pdf 2023/2/20参照 ※3 中野 弘康. 下痢. 総合診療. 2019; 29: 1092-1094. 【監修】帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科 渡邊清高 先生 更新年月:2023年11月 ONC46N005C