がんとつきあう（がん治療の副作用）正しい血圧の測り方

がん治療のためにお薬を服用し血圧が高くなる可能性がある場合や、すでに高血圧と診断されている場合には、ご自身で血圧を測定するようになります。ここでは測定する血圧の種類、治療による降圧の目標値、家庭での血圧測定の大切さと測り方について紹介します。

血圧の種類

血圧には、①診察室血圧（病院やクリニックなどで測る血圧）、②家庭血圧（自宅で測る血圧）、③24時間血圧（特殊な機器を付けて15分～1時間ごとに1日かけて測る血圧）の3種類があります^※1。一般的には、このうち①診察室血圧と②家庭血圧が高血圧の診断に用いられます^※1。
診察室血圧の測定は1日だけでなく別の日にも行い、数回の測定結果を診断に用います。収縮期血圧/拡張期血圧のどちらか一方でも140/90 mmHg以上の場合、高血圧と診断されます^※1。家庭血圧では、５～７日間の測定値の平均でどちらか一方でも135/85mmHg以上の場合、高血圧と診断されます^※1。
脳卒中や心筋梗塞などの発症を予測する方法としては、診察室血圧よりも家庭血圧が優れていることが分かってきており^※1、高血圧の診断では家庭血圧が優先されます^※1。正しい測り方を身に付けてご家庭で血圧を測定し、その結果を血圧手帳に記録するなどして、健康診断や受診の際に医師に見せるようにしましょう^※1。

一般的に診断される“高血圧”とは違うタイプの高血圧

• 白衣高血圧
  診察時のみ（白衣の前では）血圧が高くなるケースがあります。これを白衣高血圧と呼びます。診察時に緊張して血圧が上がるなどの理由が考えられます^※1。
• 仮面高血圧
  白衣高血圧と反対に、健康診断や診察の時は正常なのに家庭や職場での血圧が高いケースです。診察時には高血圧が隠れていることから「仮面高血圧」と呼びます。仮面高血圧の人は、診察室血圧・家庭血圧の両方とも高い「持続性高血圧」の人と同じくらい脳卒中や心筋梗塞などを発症しやすいことが分かっており、治療が必要です^※1。

家庭血圧の正しい測り方

家庭血圧は、朝と夜の1日2回、座った状態で測定します。朝は起きてからトイレに行った後、食事や服薬の前に測定します。起きてから1時間以内が目安です。夜は就寝前に測定します。また、測定に用いる血圧計は、上腕にカフ（腕帯）を巻くタイプがよいとされています^※1。

以下の点に注意して測定するようにしましょう^※1。

①静かで、過ごしやすい温度の部屋で測定する
②背もたれ付きのイスに腰掛け（脚は組まない）、血圧計のカフの高さと心臓の高さをあわせる
③測定前は喫煙、飲酒、カフェイン摂取はしない
④測定中は話をせず、力を入れたり動いたりしない
⑤歩いたりした後はすぐに測らず、座って1～2分間の安静を保ってから測定する

治療による降圧目標値

高血圧の治療は、将来起きる可能性のある脳卒中（脳梗塞や脳出血など）や心筋梗塞など、また、腎機能の悪化などを予防するために行われます。

<降圧目標値^※1>
診察室血圧：130/80 mmHg未満（75歳未満）
　　　　　　140/90 mmHg未満（75歳以上）
家庭血圧　：診察室血圧より5 mmHg低い値

合併している病気の状態などによって降圧の目標値が異なります。しっかり下げたほうがよい場合や、逆に慎重に下げたほうがよい場合があります。めまいやふらつきなどの自覚症状の変化に気を付け、かかりつけ医と相談しながら目標値を目指しましょう^※1。

家庭血圧は毎日決まった時間に同じ状態で測定できるので、より正確で詳細な血圧情報を把握することができます。これは医師が治療方針を決める上で手助けになる大切な情報です。家庭血圧を測ることを習慣にして、生活に取り入れましょう。また、測定値が気になる場合には医療スタッフに伝えるようにしましょう。