がんとつきあう(がん治療の副作用)脱毛がん治療と脱毛脱毛とは?抗がん剤(化学療法)や放射線によるがん治療の副作用として、よく知られる症状に脱毛があります。命に関わる副作用ではないものの、外見の変化を伴う脱毛は、患者さんにとって、つらい症状のひとつとして挙げられます。がん治療を受けたからといって必ずしも脱毛を生じるわけではありません。抗がん剤(化学療法)の種類や放射線治療の照射部位、治療の組み合わせ、患者さんの状況によっても症状は異なります。髪の毛だけでなく、手足の体毛、眉毛やまつ毛にいたるまで全身の毛が抜けることもあれば、身体の一部の毛だけが抜けることもあります。個人差はありますが、髪の毛をはじめ、身体の毛が抜けることが心に与える影響は決して小さくありません。しかしながら、治療前から脱毛に備えることで、精神的なつらさを和らげることができます。自分がこれからどんな治療を受けるのか、また治療を受けることでどんな脱毛が起きうるのかを事前に知っておけば、対策を練ることは可能です。脱毛を防ぐこと自体は避けられなくても、メイクやかつら(ウィッグ)などいろいろな対策法があります。がん治療の副作用としての脱毛について知識を深めて、上手に付き合っていきましょう。脱毛の症状と原因脱毛は、抗がん剤(化学療法)や放射線によるがん治療の副作用として現れる症状です。髪の毛だけでなく、体毛・眉毛・陰毛などの部分でも抜け毛を生じます。治療内容に応じて、症状や発生時期を理解し、準備することが大切です。抗がん剤(化学療法)治療による脱毛症状抗がん剤(化学療法)の種類や使用量、治療の組み合わせや患者さんの状況によっても脱毛の程度は異なります。抗がん剤(化学療法)の種類によって、脱毛の症状が出やすいもの、出づらいものがあり、必ずしも脱毛が起きるわけではありません。また、全身に影響を及ぼす抗がん剤(化学療法)は、種類や使用量によっては、全身の体毛が抜ける場合があり、まつ毛や眉毛などにも脱毛が見られることがあります。原因抗がん剤(化学療法)は分裂が活発な細胞に強く影響します。そのため、細胞分裂がとても盛んな毛母細胞(毛をつくるもとになる細胞)は、抗がん剤(化学療法)の影響を受けやすく、毛根がダメージを受けることから脱毛が引き起こされると考えられています。とりわけ、毛母細胞の働きがさかんな髪の毛は、抗がん剤(化学療法)の影響が大きく、脱毛を生じやすい部分といえます。放射線治療による脱毛症状放射線治療に伴う脱毛の特徴として、全身に脱毛が起こるのではなく、放射線が当たる範囲に起こることが挙げられます。種類によって、身体の反対側まで通過するタイプの放射線では、照射した部分の反対側でも脱毛を生じることがあります。放射線の強さや照射範囲、照射する向き、患者さんの状況によっても脱毛の程度は異なってきます。原因放射線治療は、がん細胞を攻撃するとともに、正常な皮膚の細胞に対しても作用します。放射線による治療を受けると、照射された部位の皮膚は皮膚炎を起こします。炎症が悪化して毛根までダメージを受けることで、脱毛が引き起こされます。放射線治療が終了し、皮膚の炎症がおさまれば、正常な皮膚が再生され、毛根も正常に戻っていくため、次第に新しい毛が生えてきます。脱毛の対処法抗がん剤(化学療法)や放射線のがん治療に伴う脱毛は、命には関わらないものの、患者さんの心に与える影響の大きな副作用のひとつです。見た目にも変化の大きい脱毛、とりわけ髪の毛が抜けることは、心のダメージへとつながりがちです。髪の毛を洗うときや、くしでとかすときにごそっと抜ける髪の毛に不安を感じたり、床に落ちた髪の毛を見てよりふさぎ込みがちになったりと患者さん本人にとってみれば、脱毛は決して軽く考えることのできない副作用といえます。治療経過に合わせたケアをすることで、脱毛と上手に付き合っていきましょう。ヘアケア頭皮が敏感になっている脱毛中は、ヘアケアも大切です。髪を短くカットする治療開始前に髪を短くカットすることで、髪の毛が抜けることへのマイナスイメージを和らげることにつながります。髪の毛が長いと、その分抜け毛の量が多く感じられるものです。爪を短く切る髪を洗っている最中に頭皮を傷付けたりしないように、爪は日頃から短くカットしておくようにします。低刺激なシャンプー・リンスを使用する頭皮への刺激が少ないシャンプー・リンスがオススメです。指のはらでやさしく洗い、頭皮に洗浄成分が残らないようにしっかりと洗い流しましょう。頭部へ放射線治療を行っている場合は、シャンプー・リンスは使用せず、ぬるま湯で洗い流す程度にとどめます。また、傷をつくらないようにすることも重要です。ドライヤーの使用は控えめにドライヤーの使用は、頭皮に直接刺激を与えないように弱風・低温で使用します。ブラシは毛の柔らかいものを使用し、頭部に放射線治療を受けている方は、頭皮が弱くなっているので、できるだけ頭皮に触れないようやさしくゆっくりと髪の毛をとかしましょう。パーマ・カラーを避ける頭皮・毛根への刺激となるパーマ・カラーは主治医の許可がでるまで避けましょう。外出脱毛の症状が現れると、外出するのも億劫になりがちですが、かつら(ウィッグ)や帽子などのグッズが外出の心強いサポーターとなってくれます。かつら(ウィッグ)必要に応じて利用すれば、脱毛しているときの外出も安心です。かつら(ウィッグ)には医療用やファッション用、部分かつら(ウィッグ)、全体かつら(ウィッグ)、オーダーメイド、既製品など、種類や価格帯もさまざまなものがあります。用途に合わせて、自分に合ったものを選びましょう。帽子・キャップ帽子やキャップを使用するのもよいでしょう。種類やデザインが豊富で、素材や色、形など自分の好みに合わせて選びやすいのも帽子やキャップならでは。中には、帽子代わりにスカーフを上手に使いこなす方もいます。マスク脱毛は髪の毛だけに起きるわけではありません。鼻毛にまで影響を及ぼすこともあります。鼻毛がなくなると鼻から細かな異物を吸い込みやすくなるので、外出する際は、鼻を保護するためのマスクが必需品です。サングラスまつ毛や眉毛の抜け毛には、見た目だけでなく、直射日光を避けてくれるサングラスがオススメです。自宅キャップ自宅でもキャップやスカーフ、バンダナなどを使用すれば、髪の毛が落ちることを防いでくれるため、脱毛による不快感を和らげる効果につながります。寝具に髪の毛が付くことを予防してくれるナイトキャップもあります。脱毛自体は避けられなくてもさまざまな工夫で心身へのダメージを和らげることは可能です。治療による一時的なものであることを念頭において、ケアしていきましょう。※不明な点がある場合は、必ず医療従事者に相談しましょう。【監修】埼玉医科大学国際医療センター 乳腺腫瘍科 教授 佐伯俊昭 先生更新年月:2026年9月ONC46O045B脱毛がん治療と脱毛脱毛の症状と原因脱毛の対処法