Step 1Step 2Step 3ご家族、介護者の方へ骨髄腫と生きるために Step 3心豊かに暮らすために多発性骨髄腫と診断されたからといって、心豊かな暮らしをあきらめなければならないということではありません。あなたが希望する生活を送れているという実感が、大きな意味を持つことがあります。「あなたにとって大切なこと」を明らかにし、それをご家族や介護者、医療従事者に伝えることができれば、多発性骨髄腫と共に生きていくための大きな一歩をすでに踏み出しているといえます。医療従事者との関係性の構築は、多発性骨髄腫と共に心豊かに暮らすことを目指した治療計画にもつながります。「あなたにとって大切なこと」を伝えることは、医療従事者がニーズにあった治療計画を立てるうえでの助けとなるでしょう1。Step 3Step 3では、多発性骨髄腫と共に生きていけるように、あなたが始められることについて説明します。心の健康を大切にこれからも活動的に【出典】1)Auclair D, et al.: Patient Preference and Adherence. 2022; 16: 573-585心の健康を大切に多発性骨髄腫と共に生きていくうえで、気分の浮き沈みがあるというのも無理のないことです1。調子の悪い日があっても大丈夫1あなた自身が元気でいるために、日常生活でできる習慣には以下のようなものがあります1。心の健康を大切にしましょう● 生活の中で楽しいと思うことは続ける大切だと思うことは続けましょう。趣味だったり、大事な人と会うことだけでなく、瞑想やマインドフルネス※を実践することなどもよいかもしれません。生活の中で楽しいと思うことを続けることで、気が楽になる場合があります。毎日楽しめる活動を1つでも行うようにしてみましょう1。※マインドフルネス:時間をとって今まさに身の周りに起きていることに意識を向けること2● 気持ちを打ち明けてみるご家族や介護者に気持ちを伝えることは、あなたを理解してもらうことにつながります。また、人間関係の悩みについて打ち明けることも大切です。身近な人に話しにくい場合は、カウンセラーに相談するのもよいかもしれません。会話は気持ちを整理することにもつながり、人間関係や気分がよくなることがあります1。● 多発性骨髄腫について知る多発性骨髄腫についての理解は、自分の状態を把握することにもつながり、治療計画について医療従事者と話し合う際にも役立ちます1。インターネット上にはさまざまな情報があるため、信頼できる情報源かの判断は難しいかもしれません。医療従事者に推奨している情報サイトを聞いてみるのもよいでしょう。● 心を落ち着かせるマインドフルネスとは、時間をとって今まさに身の周りに起きていることに意識を向けることです2。マインドフルネスは不安を和らげたり、気分を落ち着かせたりするために役立つこともあります1。● 日記をつけるものごとを書くことによって、あなたの気持ちを整理することができます。特に、話をしたくないときに役立つかもしれません。また、書くことで感情のパターンが明確になることもあります(「疲れているときは不機嫌になる」、「受診前に不安になる」など)。このような傾向を把握することで、昼寝をするなどの対処方法を見つけることができます1。【出典】1)Myeloma UK. Infopack for living well with myeloma.https://www.myeloma.org.uk/wp-content/uploads/2025/01/Myeloma-UK-Infopack-for-living-well-with-myeloma.pdf(2025/1/27参照)2)American Cancer Society. Practice Mindfulness and Relaxation.https://www.cancer.org/cancer/survivorship/coping/practice-mindfulness-and-relaxation.html(2025/1/27参照)これからも活動的にあなたの健康にどのような運動が適しているのか、医療従事者に相談してみましょう1。医療従事者と共に副作用を管理し、健康と感じられる状態を維持することに加えて1、健康的な暮らしのためにも適度な運動は重要です2。例えば、運動することで疲労感が軽くなったり、心身の健康がよくなることもあります3。また、筋力の低下を防止することで、普段の活動を維持することにもつながります1。そのためにも簡単な運動から始めてみましょう1。多発性骨髄腫によって身体的な不自由を感じても、落ち込まないようにしましょう1。調子が悪いときは誰にでもあります1。翌日また挑戦することもできますし、より軽い運動に切り替えることもできます1。運動は、多発性骨髄腫と共に生きていく暮らしにおいて、前向きに作用することが期待されます。運動を生活の一部に取り入れましょう簡単な運動には以下のようなものがあります。生活の中で実践できそうな運動はないか、医療従事者に相談してみましょう。ストレッチヨガや太極拳などの軽いストレッチ運動を検討してみましょう1。イスを使った運動イスを使ってできる安全な運動について、医療従事者に相談してみましょう4。筋力トレーニング軽い筋力トレーニングは、歩行や階段の上り下り、ベッドに入ったり起き上がったりなどの日常動作に役立つことがあります4。散歩1怪我のリスクの少ない家の中や家の周囲などを歩き、起伏のある場所は避けましょう4。運動機能に問題がある場合は、階段昇降機や手すり1、電動カートなどの移動補助器具の使用について、医療従事者に相談してください。安全な運動を心がけましょう運動することは重要ですが、安全には特に注意する必要があります1。多発性骨髄腫によって、骨が弱くなっている可能性があるため、骨折のリスクがある運動(ランニングやゴルフ、スカッシュ、テニスなど)は避けましょう1。また、新しい運動を始めるときは事前に医療従事者に相談しましょう1。運動はゆっくり開始し、少ない運動量のものを数回に分けて行いましょう1。白血球数が少ないなど、感染症のリスクが高い場合には、人の多い場所は避けましょう1。怪我のリスクを減らすために、起伏のある場所を歩くことを控え、また広い場所で運動するようにしましょう1。健康で丈夫な体を保つためにも、運動を心がけましょう治療中はあまり運動する気分になれないかもしれません1。ただし、長期間運動しないと筋力の低下がみられ、日常生活に支障をきたすようになるおそれがあります1。医療従事者と相談しながら、可能な範囲で以下のような運動を2、3日おきに試してみましょう4。イスに座った状態でのレッグプレスお尻がイスの背部につくように深く座り、エクササイズバンドを土踏まずの上の部分にかけます。足を床から浮かせ、このときかかとをイスから離すようにし、筋肉を伸ばします。両手は腰の位置で水平に保ち、床に向けてかかとを押し出す形で足を伸ばし、この状態を保ちます。これを5回繰り返します4。踏み台昇降運動踏み台または階段の正面に立ち、必要であれば手すりにつかまります。片方の足で台に昇り、もう一方の足も同様にします。次に片方の足を台から降ろし、もう一方の足も同様にします。これを5回繰り返して休憩し、次は反対側の足から始めて繰り返します4。つま先立ち歩き両足を肩幅に開き、足の裏を地面につけて立ちます。つま先立ちになり、その場で最大10歩歩きます。そして、かかとを下ろして休憩します。これを5回繰り返します。必要に応じて、何かにつかまりながらバランスをとって行いましょう4。【出典】1)Myeloma UK. Infopack for living well with myeloma.https://www.myeloma.org.uk/wp-content/uploads/2025/01/Myeloma-UK-Infopack-for-living-well-with-myeloma.pdf(2025/1/27参照)2)Lecat CSY, et al. : BMC Res Notes. 2021; 14: 1713)Shapiro YN, et al. : Blood Cancer J. 2021; 11: 1724)Myeloma UK. Exercises for myeloma patients.https://www.myeloma.org.uk/wp-content/uploads/2014/06/Myeloma-UK-Exercises-for-myeloma-patients-Infosheet.pdf(2025/1/27参照)次のコンテンツ多発性骨髄腫と共に生きていくためのヒントを紹介します。ご家族、介護者の方へ【監修】 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 血液内科 臨床研究部長 角南一貴 先生更新年月:2025年4月ONC46O044B Step 2 ご家族、介護者の方へ