Step 1Step 2Step 3ご家族、介護者の方へ骨髄腫と生きるために Step 2よりよいコミュニケーションのためにご家族や介護者、医療従事者に「あなたにとって大切なこと」を伝えてみてください。(「あなたにとって大切なこと」については、Step 1をご覧ください。)「あなたにとって大切なこと」が明らかになったら、それをご家族や介護者、医療従事者に伝えましょう。「あなたにとって大切なこと」を知ってもらうことは、あなたの暮らしをよりよいものとし、治療へのモチベーションを高めるきっかけにもなるでしょう1。隠し事なく率直に話し合うことにより、ご家族や介護者、医療従事者があなたの希望をわかってくれたり、多発性骨髄腫と共に生きていくための支えとなるかもしれません2-5。多発性骨髄腫の治療計画を立てるうえでも、「あなたにとって大切なこと」を医療従事者にきちんと伝えることが大切です6。あなたの希望を伝えることは、治療計画を立てるうえで大切です。Step 2Step 2では、「あなたにとって大切なこと」を伝える実践的なコミュニケーションの方法を紹介します。ご家族、介護者との会話意見の相違があったときの会話医療従事者への相談【出典】1)Moore C. Life Goals: How to Set and Achieve Them the Right Way.https://positivepsychology.com/life-worth-living-setting-life-goals/(2025/1/27参照)2)Leukemia and Lymphoma Society. Myeloma Guide: Information for Patients and Caregivers.https://www.lls.org/sites/default/files/2023-05/PS49_Myeloma_Guide_2023.pdf(2025/1/27参照)3)American Cancer Society. Questions to Ask About Multiple Myeloma.https://www.cancer.org/cancer/multiple-myeloma/detection-diagnosis-staging/talking-with-doctor.html(2025/1/27参照)4)Myeloma Patients Europe. Multiple Myeloma – A Patients’ Guide.https://www.mpeurope.org/wp-content/uploads/2023/01/Myeloma-Patients-Guide.pdf(2025/1/27参照)5)American Cancer Society. Caregiver Resource Guide: Caring for a Loved One With Cancer.https://www.cancer.org/content/dam/cancer-org/cancer-control/en/booklets-flyers/american-cancer-society-caregiver-resource-guide.pdf(2025/1/27参照)6)Auclair D, et al.: Patient Preference and Adherence. 2022; 16: 573-585ご家族、介護者との会話ご家族や介護者は、あなたに寄り添ってくれる大事な存在です。「あなたにとって大切なこと」とその理由をきちんと伝えましょう。ご家族や介護者も、より深く理解するために、あなたの想いを知りたいと思っているかもしれません。また、相手もあなたに伝えたいことがあるかもしれません。率直に話し合うことは難しいと感じるかもしれませんが、お互いの理解を深めるために「大切なこと」を伝えあってみましょう。「あなたにとって大切なこと」や「ニーズ」をできるだけ率直に伝えることで、ご家族や介護者は、多発性骨髄腫との向き合い方を知ることができます。よりよいコミュニケーションのためのポイントまずは、「対面か電話か」、「朝か夜か」、「平日か週末か」といった、伝える方法と時間を決めましょう。会話が遮られないように、静かな環境を選びましょう。「あなたにとって大切なこと」のリストを用意し、それがなぜあなたにとって大切なのか、時間をかけて考えたことを説明しましょう。「あなたにとって大切なこと」と、その理由を説明しましょう。「あなたにとって大切なこと」に関わる生活や治療に変更があれば、伝えましょう。不明点がないかを確認しながら、「あなたにとって大切なこと」をきちんと理解してもらいましょう。落ち着いてはっきりと話すようにしましょう。ご家族や介護者の言葉にも耳を傾けましょう話す内容ばかり考えるのではなく、相手が話していることを理解することにも集中しましょう。あなたが理解した内容を相手に伝え、その理解が間違っていないかを確認しましょう。意見の相違があったときの会話多発性骨髄腫と共に生きることは、あなたにとっても、ご家族にとっても困難を伴います。病気により家族の絆が深まることもあれば、意見の相違がみられることもあります1。ご家族や介護者との良好な人間関係を続けていくためにも、意見の相違があったときには以下の内容を参考にしてください。意見の相違を解決するためのポイント誰もが異なる存在であることを受け入れましょう。人により望みやコミュニケーション方法、対処方法が異なることを念頭に置いておきましょう1。「この人は助けようとしてくれているのかもしれない」という気持ちを持ちましょう1。伝えることが難しいと感じたときでも、なるべく介護者に相談しましょう。今の状況を理解してもらうことが、よりよいケアの提供につながるかもしれません1。副作用がみられる場合には、きちんと相談しましょう。副作用によっては自らコントロールできないことを理解してもらう必要があります2。問題があるときには、状況が悪化する前に介護者に伝え、早く対処するように努めましょう1。素直になることで、意見の相違にも対処しやすくなり、互いが支え合って、苦悩や不安を軽減することにつながります1。考えてから言葉にしましょうつらいことを伝えたいときや、意見の相違があるときには、話すことをためらうかもしれません。そのような場合は、少し時間をとり、話し方や使う言葉を考えることで、スムーズな会話ができるようになることがあります。また、考えがまとまるまで時間が必要だと感じたときには、そのことをきちんと相手に伝えましょう。本当の気持ちを伝えることは、決して悪いことではありません。きちんと伝えることで、介護者や医療従事者からのサポートがよりよいものになるかもしれません。相手をただ責めるのではなく、どのように感じたのかを伝えましょう。相手の批判や、中傷、侮辱はしないようにしましょう。誤解がないように、具体的かつ明確に話しましょう。相手の「間違った」行動を指摘したりせずに、相手から助けが得られるように心がけましょう。これらの方法でも意見の相違が解決しない場合には、専門家による支援を検討しましょう。【出典】1)American Cancer Society. Caregiver Resource Guide: Caring for a Loved One With Cancer.https://www.cancer.org/content/dam/cancer-org/cancer-control/en/booklets-flyers/american-cancer-society-caregiver-resource-guide.pdf(2025/1/27参照)2)Myeloma Patients Europe. Multiple Myeloma – A Patients’ Guide.https://www.mpeurope.org/wp-content/uploads/2023/01/Myeloma-Patients-Guide.pdf(2025/1/27参照)医療従事者への相談「あなたにとって大切なこと」が明らかになったら、医療従事者にも伝えましょう。医療従事者ときちんと話し合うことは、ニーズにあった治療計画を立てるうえでの助けとなるかもしれません。治療前および治療中における医療従事者とのよりよいコミュニケーションは、治療に対する満足度の向上につながることがあります1。医療従事者とよい関係性を築いている場合、「治療満足度」、「健康」、「生活の質」の改善が期待されます2。治療前および治療中における医療従事者とのよりよいコミュニケーションは、治療に対する満足度の向上につながることがあります1。医療従事者とよい関係性を築いている場合、「治療満足度」、「健康」、「生活の質」の改善が期待されます2。ニーズにあった治療計画を立てるうえでも、「あなたにとって大切なこと」を医療従事者にきちんと伝えておくことが大切です。医療従事者とのコミュニケーション診療時間には限りがありますので、「あなたにとって大切なこと」を記載したメモを持参し、医療従事者に伝えてみましょう。コミュニケーションを深めることで、あなたの置かれている状況がよりよく感じられるかもしれません3。医師から提案される治療方針に対して、「あなたにとって大切なこと」がどのような影響を与えるのか考えてみましょう。考えを率直に伝え、必要に応じて質問することも大切です。「家族」、「病気の管理」、「ライフスタイル」などについての質問をきっかけに、医師とコミュニケーションを図りましょう。受診時の心構え「相談したい内容」や「あなたにとって大切なこと」について、あなたや周囲の方への影響も含めて、必ず医師に伝えましょう3。遠慮せずに何でも相談しましょう。医師はあなたを支える大事な存在です3。受診時には、サポート役として、ご家族や介護者に付き添ってもらうことを検討しましょう3。あとで質問できるように、受診後の連絡先を確認しておきましょう3。医師の説明を確認できるように、メモをとりましょう。覚えきれない場合は、医師へ事前に確認したうえで、携帯電話などで録音しましょう。医師との会話から覚えている内容を伝え、医師が話した内容をあなたが理解していることを再確認しましょう3。【出典】1)Janssens R, et al.: Front Med (Lausanne). 2021; 8: 6861652)Amiculum. Enhancing the patient-healthcare professional relationship in multiple myeloma.https://www.comradis.biz/media/wcxhentc/enhancing-the-patient-hcp-relationship-in-multiple-myeloma.pdf(2025/1/27参照)3)WebMD. How to Talk to Your Doctors When They Don't Listen.https://www.ttjlawfirm.com/wp-content/uploads/sites/1301201/2019/06/Talking20to20Your20Doctor_20How20to20Make20Yourself20Heard.pdf(2025/1/27参照)次のコンテンツ多発性骨髄腫と共に生きていくためのヒントを紹介します。Step 3 心豊かに暮らすために【監修】 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 血液内科 臨床研究部長 角南一貴 先生更新年月:2025年4月ONC46O044B Step 1 Step 3