骨髄腫と生きるためにご家族、介護者の方へ

夫、妻、子供、友人-どのような立場であっても、
介護者としての役割には困難が伴うかもしれません。

介護者は、大切な人(患者さん)の治療方針の決定にも関わることがあるでしょう。一方で、自分自身を大切にすることも忘れないでください。多発性骨髄腫が再発したときや、新たな治療が必要になったときでも、患者さんにとっての大きな存在なのです。

介護者は、大切な人(患者さん)の治療方針の決定にも関わることがあるでしょう

本コンテンツのStep 1~3は、患者さんが多発性骨髄腫と共に生きていくために、またご家族や介護者が患者さんとの距離を縮め、患者さんを支えるうえでお役立ていただけるための内容となっています。患者さんにとっての「大切なこと」を知ることが、患者さんの暮らしを支え、治療へのモチベーションを高めることにつながるかもしれません1。また、医療従事者とも共有することで、関係者全員が協力し合い、患者さんのニーズにあった治療計画を立てるうえでの助けにもなるでしょう。

Step 1~3の概要

Step 1 大切なこととは

Step 1 大切なこととは

まず、患者さん自身が「大切なこと」を明らかにする必要があります。それは、大切な人と特別な時間を楽しむことかもしれませんし、通院をできるだけ少なくすることかもしれません。また、電話ではなく対面で人と付き合うことや、新しい趣味を始めることかもしれません。

人生で大切にしていることや楽しみにしていることの中から、「特に大切なこと」を決めることは、必ずしも容易ではありません。

  • Step 1は、患者さんにとっての「大切なこと」を明らかにするうえでお役立ていただける内容となっています。
  • 患者さんにとっての「大切なこと」とあなたの考えが近いかどうか考えてみましょう。

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Step 2 よりよいコミュニケーションのために

Step 2 よりよいコミュニケーションのために

患者さんにとっての「大切なこと」が明らかになったら、Step 2に進みます。本ステップは、患者さんがご家族や友人、医療従事者に「大切なこと」をきちんと伝えられるようにするための内容です。

隠し事なく率直に話し合うことにより、よりよい人間関係が構築され、また、患者さんが心豊かに暮らすために、介護者に何を求めているのかの理解につながります。

例えば、患者さんが自宅で過ごす時間を大切にしている場合、不要な外出を避けるために手助けできることがあるかもしれません。一方で、医療従事者が患者さんにとっての「大切なこと」を理解することは、患者さんのニーズにあった治療計画を立てるうえでの助けになるかもしれません。ただし、患者さんが介護を要する場合には、良好なコミュニケーションを図るのが、時として難しい場合もあります。

  • 率直な話し合いをするためのポイントを紹介しています。
  • 意見の相違を解決するための対処方法を紹介しています。

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Step 3 心豊かに暮らすために

Step 3 心豊かに暮らすために

患者さんにとっての「大切なこと」をきちんと理解することで、患者さんが心豊かに暮らすための支えができるようになります。例えば、自宅でのサポートや健康面での支え、人間関係での支えなどがあります。また、患者さんが心豊かに暮らせるように、「どのような治療計画が患者さんのニーズにあっているのか」を医療従事者が理解する助けにもなります。

患者さんが心豊かに暮らすために、心の健康や体の健康2のためにお役立ていただける情報を掲載しています。ご家族や介護者にとってもお役立ていただける内容となっています。

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ご家族や介護者のちょっとした行動から、大きな変化が生まれます

  • 患者さんにとっての「大切なこと」を確認してみましょう。明確な答えがない場合には、例えば、家族のこと、病気の管理のこと、ライフスタイルのことなど、生活のさまざまなシーンで「何が大切か」を考えるようにアドバイスし、患者さんにとっての「大切なこと」が見つけられるようにサポートしましょう。
  • 患者さんと一緒に受診することを提案してみましょう。医療従事者の話を一緒に聞いたり、メモをとったりするなど、患者さんを支えることにつながります。ご家族や友人の方が患者さんの症状や治療を把握することで、助けになれることがあります。
  • 患者さんが症状の変化に早く気づけるように、チェックリストを使用することも有用です。食欲や体重の変化などを確認してみましょう。
  • 多発性骨髄腫の他の患者さんに会うことができるように、例えば支援グループへの参加を促しましょう。ご家族や友人には話しにくい内容でも、支援グループのメンバーには共有しやすい場合もあります。
  • ご家族や介護者も自分自身のことを大切にしましょう。患者さんが不安を抱えて生きていることを理解しているので、ご家族や介護者は負の感情を表現することに抵抗を感じるかもしれません。しかしながら、ご家族や介護者の感情や支援にも限界があることを忘れないでください。そのため、ご家族や介護者もサポートを受けることが大切です。必要があれば、医療従事者にそのような支援グループがないかを確認してみましょう。

【出典】

1)Moore C. Life Goals: How to Set and Achieve Them the Right Way.
https://positivepsychology.com/life-worth-living-setting-life-goals/(2025/1/27参照)

2)Shapiro YN, et al. : Blood Cancer J. 2021; 11: 172

【監修】 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 血液内科 臨床研究部長 角南一貴 先生

更新年月:2025年4月

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