乳がんと早期発見乳がんQ&AQ120~30歳代でも、乳がん検診を受けたほうがいいのでしょうか?A乳がんの発症は30歳代後半から増加しはじめ、45歳までは急増します※1,2。45~69歳の間にピークがあり、その後は横ばいないしは緩やかな減少傾向にあります※1。しかし、20歳代の方でも発症することがありますので※2、若いうちから気をつけておくことが大切です。月に1回はセルフチェックを行い、ご自身の乳房の状態を知っておくとよいでしょう。また、家族に乳がんになった方がいる場合など、遺伝性乳がんを心配する場合は、医療者と相談し、個別に適切な定期検査を検討しましょう。Q2家族に乳がん患者がいると、乳がんの発症リスクは高くなりますか?A家系内に乳がんを発症した方がいる場合、乳がん発症リスクは高くなります。母親や姉妹に乳がんになった方がいる場合は、いない場合に比べて、2倍以上リスクが高くなると言われています。また、家系内で乳がんを発症した人数が多い場合には、さらにリスクが高くなります※3。遺伝性乳がんが心配な方は医療者に相談をしたり、遺伝カウンセリングを受けたりすることをおすすめします。Q3更年期障害の治療でホルモン補充療法を長く続けると、乳がんになりやすいと聞いたのですが?Aエストロゲンとプロゲスチンを併用する方法では、乳がん発症リスクはわずかながら高くなります。エストロゲンだけを補充する方法では、乳がん発症リスクはわずかながら高くなる可能性があります※4。いずれにしても、ホルモン補充療法を始める際には、あらかじめ婦人科医とよく相談されることをおすすめします。Q4乳腺症や乳腺炎は、乳がんの発症と関係がありますか?A※5乳腺症は、30~40歳代の女性にみられる乳腺のさまざまな良性変化の総称です。卵巣から分泌されるホルモンの関係で、月経周期と連動するしこりや痛みを伴うことがありますが、閉経後には自然に消失します。乳腺炎は、授乳期に母乳が乳房内にたまったり、細菌の侵入によって起こる乳房の炎症で、腫れや痛み、うみ、しこりなどがみられます。ほとんどの場合、乳腺症や乳腺炎は乳がんの発症には関係ありません。ただし、乳頭から血の混じった分泌物が出たり、痛みがないのに乳房が腫れたりする場合には、まれに乳がんが隠れていることがあるので、病院を受診しましょう。Q5乳がんと診断されたら、どうしたらよいでしょうか?A乳がんの治療は、手術、薬、放射線などの組み合わせで行われ、たくさんの方法があります。どの方法があなたにとって最善か、ご本人と医療者がじっくり話し合って決めることになります。治療法を決めるときは、納得のいくまで十分に検討してください。また、「セカンドオピニオン(担当医以外の医師の意見)」を聞いてみるのもよいでしょう。※1【出典】日本乳癌学会編: 乳癌診療ガイドライン 疫学・予防 総説1 2022年版 金原出版: 2022※2【出典】国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/index.html#incidence (2023年9月1日現在)※3【出典】日本乳癌学会編: 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版 金原出版: 231, 2023※4【出典】日本乳癌学会編: 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版 金原出版: 226, 2023※5【出典】日本乳癌学会編: 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版 金原出版: 25-26, 2023【監修】筑波大学附属病院 乳腺・甲状腺・内分泌外科 准教授 坂東裕子 先生更新年月:2024年10月ONC45N016A