急性骨髄性白血病(AML)を学ぶ薬物療法急性骨髄性白血病(AML)の薬物療法血液のがんの治療では、全身に作用する薬物療法が中心となります1)。急性骨髄性白血病(AML)では、薬物療法として細胞障害性抗がん薬や分子標的薬などが使われます1-3)。化学療法(抗がん剤など)従来の化学療法に用いられる薬剤を、一般に「抗がん剤」といいます。抗がん剤は、細胞が増えるしくみを邪魔することでがん細胞を攻撃する薬です4)。細胞が増える過程の一部に作用する薬もあれば、全体に作用する薬もあります3)。急性骨髄性白血病(AML)の治療では、効果を高めるために、異なる作用の抗がん剤を組み合わせて使用されます。最近では、分子標的薬と抗がん剤の併用も増えてきています2,5)。分子標的薬分子標的薬は、がん化の原因となっている分子や、がん細胞に発現している分子を標的とした薬剤です3)。①BCL-2阻害薬白血病細胞の表面にあるBCL-2という蛋白の働きを阻害することで、白血病細胞の死滅を誘導する飲み薬です。通常はほかの薬と併用して用いられます2,5)。②FLT3(フラットスリー)阻害薬FLT3という蛋白(チロシンキナーゼ)の働きを阻害することで、白血病細胞の増殖を抑える飲み薬です。FLT3遺伝子に変異のある患者さんが対象となります2,5)。③抗体医薬品白血病細胞の表面にある特定の蛋白に結合し、白血病細胞を死滅させる作用をもつ薬です。再発・難治性の患者さんに使われることがあります5)。【出典】1) 宮崎仁:もっと知りたい白血病治療 患者・家族・ケアにかかわる人のために 第2版 医学書院:30, 20192) 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版 金原出版:14-16, 21-33, 37-38, 41-44, 20233) 医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.5 血液 第3版.メディックメディア.126-133, 20234) 国立がん研究センターがん情報サービス:薬物療法 もっと詳しく https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/drug_therapy/dt02.html (2024/7/26参照)5) 松村到編:急性白血病診療テキスト 中外医学社:155-181, 2020【監修】 金沢大学医学部血液内科 教授 宮本 敏浩 先生更新年月:2024年9月ONC46N020B