急性リンパ性白血病(ALL)を学ぶ白血病ってどんな病気? 白血病とは? 白血病は血液細胞のもととなる造血幹細胞や血液細胞になる前の細胞に異常が起こり、骨髄中にがん化した細胞(白血病細胞)が無制限に増える病気で、血液のがんと呼ばれています。白血病細胞が増加すると、正常な血液細胞がつくられなくなり、赤血球、血小板、白血球が減少します。その結果、貧血や出血、発熱などの症状があらわれます1)。白血病はがん化した細胞のタイプから「骨髄性」と「リンパ性」に分けられ、さらに病気の進行パターンや症状から「急性」と「慢性」に分けられます2)。 日本では、1年間に人口10万人あたり11.3人(男性13.6人、女性9.1人)が新たに白血病と診断されています3)。 表.白血病の種類 急性白血病 骨髄性白血病 リンパ性白血病 急性骨髄性白血病 (AML: acute myeloid leukemia) 急性リンパ性白血病 (ALL: acute lymphoblastic leukemia) 慢性白血病 骨髄性白血病 リンパ性白血病 慢性骨髄性白血病 (CML: chronic myelogenous leukemia) 慢性リンパ性白血病 (CLL: chronic lymphocytic leukemia) 本サイトでは急性リンパ性白血病(ALL)について詳しく解説します。 急性骨髄性白血病(AML)に関してはこちらを、慢性骨髄性白血病(CML)に関してはこちらをご覧ください。 ページの先頭へ戻る 造血のしくみ 血液細胞は大きく赤血球、血小板、白血球に分けられます。白血球は顆粒球、単球、リンパ球の総称です。これらの血液細胞は、骨の中心部にある骨髄で、血液細胞のもととなる造血幹細胞からつくられます。造血幹細胞は増殖しながら骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれて分化(未熟な細胞が成熟した細胞となること)します。骨髄系幹細胞からは赤血球、血小板、顆粒球、単球が、リンパ系幹細胞からはリンパ球がつくられ、血液中に放出されます4)。 図.血液細胞の分化・成熟5) ページの先頭へ戻る 白血病の発症(原因)について 原因 白血病は、特定の化学物質の曝露や放射線被ばく、ウイルス感染、遺伝子の異常などの原因が明らかな場合を除き、原因がわからないケースがほとんどです6)。 診断 白血病の診断は、血液検査と骨髄検査の結果に基づいて行われます。血液検査で異常が認められた場合に骨髄検査が行われます。骨髄検査には、腸骨や胸骨に細い針を刺して骨髄液を吸引する「骨髄穿刺(マルク)」と、骨髄組織を直接採取する「骨髄生検」があります。骨髄検査で成熟する前の血球(芽球)の割合が一定以上に増加していた場合に、白血病と診断されます7)。 【出典】 1) 医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.5 血液 第2版 メディックメディア:106, 2017 2) 宮崎仁:もっと知りたい 白血病治療 患者・家族・ケアにかかわる人のために 第2版 医学書院:21, 2019 3) 国立がん研究センター:がん情報サービス がん種別統計情報 白血病 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/27_aml.html#anchor1 2022/07/13参照 4) 医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.5 血液 第2版 メディックメディア:6-7, 2017 5) 国立がん研究センター:がん情報サービス 急性リンパ球性白血病/リンパ芽球性リンパ腫 https://ganjoho.jp/public/cancer/ALL/index.html 2022/07/13参照 6) 宮崎仁:もっと知りたい 白血病治療 患者・家族・ケアにかかわる人のために 第2版 医学書院:24, 2019 7) 永井正:図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫 法研:22, 2016 【監修】東北大学大学院医学系研究科 血液・免疫病学分野(血液・免疫科)教授 張替秀郎 先生 更新年月:2022年11月 ONC46M001A